しっぷ・あほうい!

或る日のライブラリアンが綴るあれやこれや

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三重旅行記 その2 津の県立美術館を常設展まで堪能したあと、南下してその日は伊勢に泊まった。そこでいくつかの偶然が重なり、忘れがたい旅の醍醐味を味わったのだった、と言いつつ、ここでは詳しくは書きませんが。嬉しかった/愉しかった記憶は、それだけ…

三重旅行記 その1 夏休みに三重へゆく。名古屋で青色の車を借りて桑名から津、松坂、伊勢、鳥羽と伊勢湾の海岸線に沿うようにして南下する。今年はじめてひぐらしの鳴くのを聞いた。夕暮れでもないのに。まだ八月の半ばにもなっていないというのに。カナカナ…

長谷川りん二郎が戦前にアトリエをかまえ亡くなるまで過ごした場所が住んでいる家の近所だったと知ったのは、大判の画集『夢人館4 長谷川りん二郎』(岩崎美術社、1990年)を手に入れてからなので、もう二、三年前のはずだというのに、その場所をいちど確か…

とある二都物語:山上の蜘蛛、あるいはボン書店の幻 モダニズム詩の光と影 海の見える瀟酒な洋館グッゲンハイム邸にて、扉野良人さん主催の「とある二都物語 山上の蜘蛛、あるいはボン書店の幻 モダニズム詩の光と影」に参加する。オープニング音楽は「かえ…

モダン都市・名古屋とその周辺 昨年末から楽しみにしていた"Donogo-o-Tonka"『ドノゴトンカ』0号(創刊準備号)(りいぶる・とふん、2008年)をとある方のご好意でいち早く手に入れてからというもの、またしても西のモダニズムがにわかに気になり出して、居…

「1930年代・東京」展(http://www.teien-art-museum.ne.jp/exhibition/1930/index.html) 日曜日、東京都庭園美術館にて、前から楽しみにしていた「1930年代・東京」展へ行く。一等はじめに大好きな長谷川利行《地下鉄ストアー》(1932年)が展示されていて…

ふたたび、ハンマースホイのこと ハンマースホイは線の画家だ。 「私にモチーフを選ばせるもの、それは線です。それを私は絵画における建築的成分として名付けるつもりです。そして、もちろん光も重要です。ただし明らかに、私にとってきわめて重要な意味を…

ヴィルヘルム・ハンマースホイ展 静かなる詩情 Vilhelm Hammershøi: The Poetry of Silence(http://www.shizukanaheya.com/) 国立西洋美術館にて、ヴィルヘルム・ハンマースホイの展示を観る。 何点かの風景画を除けば、ほとんどモノトーンとも言えるほど…

モダン都市・函館周遊 その1 連休を使って函館に行く。海野弘『久生十蘭ー『魔都』『十字街』解読』所収の「モダン都市函館」を読んで、それから川崎賢子『彼等の昭和ー長谷川海太郎・りん二郎・濬・四郎』を再読していたら、むくむくと函館行きへの思いが頭…

週末記。日本近代文学館(http://www.bungakukan.or.jp/)に「生きた、書いた 女性文学者の手紙展」を観に行く。駒場東大前の駅からいつも花水木の道をてくてく歩いてゆくのは気持ちがよい、のだけれど、あいにくその日は「曇り」という天気予報が外れて、陽…

先週末、埼玉県立近代美術館にて「没後30周年 熊谷守一展 ー天与の色彩 究極のかたちー」「リサーチ・プログラムー小村雪岱の江戸モダン」を観る。自宅から自転車散策圏内であるところの熊谷守一美術館は、打ちっぱなしの壁にモリカズの蟻んこの絵が描かれて…

先月の北風吹きすさぶ或る土曜日、代官山のlimArtにて、葉書をいただいて楽しみにしていた山下陽子さんのコラージュ展「キャンドルとコラージュ展 "見捨てられた断片" CANDLE STUDIO MAGIERA+山下陽子」を観に行く。 明るい陽光が差し込む白壁の静謐なギャ…

ジョルジュ・バルビエのイラストレーション! 国立近代美術館フィルムセンター小ホールにて「映画を記録する」。お目当ては『日本映画史 第一部/第二部』(大日本映画協会、1941年)で、ひょっとするともしや岡田時彦のスチルなぞ拝めたりして、という淡い…

週末お出かけメモ。 ・植草甚一/マイ・フェイヴァリット・シングス(世田谷文学館) http://setabun.jp/exhibition/uekusa/ がらくた集め、切手、マッチラベル、切り抜き、マックス・エルンストの影響を受けたコラージュ。 他愛のないものを偏愛して、役に…

<岡田時彦写真館の巻> 英パン、英パンて四六時中騒ぐので家人には呆れられ、図書館ではとっぷり日が暮れるまでひたすらいそいそと英パン探しに没頭し、最近ではついに四文字の字画が似通っている漢字はすべて「岡田時彦」に見えてしまう(それはまさしく幻…

週末記。 朝からアスファルトに日が照りつけて真っ白に見えるほど眩しい。 黒いリボンの付いたつばの広い麦藁帽子を目深に被っておもてへ出る。 企画展をやっていないのでがらんとした国立近代美術館にて、いつ観ても素晴らしい常設展示(長谷川利行「新宿風…

夏休み中は椅子の上に堆く積み上げられていた古本の山を整理して、映画(山中貞雄『丹下左膳余話 百萬両の壺』『人情紙風船』ニコラス・レイ『暗黒街の女』ウディ・アレン『アニー・ホール』)と美術館(東京藝術大学大学美術館「金刀比羅宮 書院の美 応挙・…

「モダン日本の里帰り 大正シック」展(東京都庭園美術館) からりと晴れあがった土曜日の昼間、ようやっと懸案の「着物で庭園美術館」を敢行する。本当は群青色と鼠色の縞着物(はじめての柔らかもの!)に水色にサーモン・ピンクや薄紫色や卵色やらの色が…

「パリのエスプリ 佐伯祐三と佐野繁次郎展」(神奈川県立近代美術館・葉山*1) 佐伯祐三の描くパリの下町風景が私の好きなパリのひとつーあとは、アジェとブラッサイのパリーと言うほどに昔から彼の絵が好きで、その彼がこれまた好きな画家のひとり、佐野繁…

週末は、目黒川沿いの遊歩道を少し入った目黒区美術館へ、お友達が出品している東京製本倶楽部展「本の国、本のかたち」を観に行く。川面に覆い被さるように枝のたわんだ桜の樹々はまだ褐色の固いつぼみにほんの少し新芽の鮮やかな緑が見えるくらいといった…

図書館でお友達が毎年出品しているルリユールの展示会のチラシを見つけたので持って帰る。あら、田中栞さんの名前も載っている。去年のことだけれども、カナさん*1たちが企画している西荻ブックマークでの田中栞さんの和綴本講座、とてもおもしろかった。何…

赤の似合う男ー『カメラになった男 写真家中平卓馬』(シネマアートン下北沢) http://www.cinekita.co.jp/lineup/camera.html その急性アルコール中毒で記憶と言語の大半を失った伝説の写真家のことを、わたしは家人に名前を聞くまで全く知らなかった。その…

親密な空間、色彩の旅人 鈴木信太郎展(八王子市夢美術館) よいお天気だったので、えい、と意を決して中央特快に飛び乗って八王子まで行く。はじめての八王子だったけれど意外と近かったので拍子抜け、なーんだ、別に「意を決して」行くほどの遠さじゃない…

"Drop of Dreams; Toshiko Okanoue: Works, 1950-1956" (Nazraeli Press*1, 2002) 昨年の冬に世田谷美術館で開催されていた『瀧口修造:夢の漂流物展』で彼女の作品に出会ってからというもの、時計がみるみるゆがんでいって針が物凄い速さで逆回りしはじめ、…

コラージュとフォトモンタージュ展(東京都写真美術館) http://www.syabi.com/details/collage.html コラージュ好きとしては、少し気になっていた展示会。しかも、個人的に目が離せない30年代ものもありそうだし、またこの前みたいに行かなかったと後悔する…

そごう美術館で開催中だった鈴木信太郎展が終わってしまった...。たぶん良さそうだなでも横浜かーちと遠いな行こうかなどうしよかなと思っているうちに会期終了、いつものパタン。昨日実家に帰ったら図録が置いてあって両親曰くやはりとてもよかったとのこと…

山下陽子銅版画展 "花と果実の紋章"(於 高輪・啓祐堂ギャラリー)山下さんの展示にはー今はなき池袋・ぽえむぱろうるで未生響さんの素敵な造本、空中線書局を知ってからだからーもうかれこれ6年ほど通い続けているけれど、いつ観てもうっとりと夢見心地にな…