しっぷ・あほうい!

或る日のライブラリアンが綴るあれやこれや

2010-01-01から1ヶ月間の記事一覧

平出隆『鳥を探しに』(双葉社、2010年)*1 不思議な余韻を残す小説である。 1964年2月に七十二歳で亡くなった「左手種作」と呼ばれる著者の祖父は、ひとりの自然観察者であり、独学で五カ国語をマスターして翻訳にも携わり、また絵筆もとった。アマチュアの…

一月十六日、今日は昭和九年に岡田時彦が亡くなってちょうど七十六年目の日。 昨年の秋に出版された『女優 岡田茉莉子』を読んではじめて、お墓の場所が彼が少年期を過ごした横浜の光明寺にあると判り、すぐさま手帖で命日の一月十六日を調べてみると、2010…

昨年11月の西荻ブックマーク「平出隆×扉野良人」対談と、冬至の日の須磨でおこなわれた扉野さんの企画「とある二都物語」の余韻を、年があけてからもずっと引きずったままで、机の上にはいろんな詩人たちの詩集が散乱している。井上多喜三郎全集、高祖保詩集…

2009→2010 あけましてお目出度うございます。 2009年はいくつかの忘れがたい出逢いがありしみじみよい年となりました。 前半は尾崎翠にかかり切りでこれ以外はほとんど何もできなかったけれど、後半は詩とその周辺に身を置いて忙しくも幸福な時間を過ごすこ…