しっぷ・あほうい!

或る日のライブラリアンが綴るあれやこれや

2019-01-01から1年間の記事一覧

祖母の家 家の鏡台には、資生堂のドルックスのクリームや乳液やらがところせましと並んでいた。鼻を掠めるそれらの入り混じった重い粘性の匂い。山名文夫の曲線が優美な唐草模様の意匠は、だから幼いころからなじみがあった。父方の祖母はおしゃれだった。色…

祖母の家 まゆみの生垣で覆われた庭をとおって、玄関の引き戸をがらがらと開ける。その木造の小さな家は、障がいをもつ娘と二人で暮らす親戚のおばさんの家と接していて、猫の額くらいの湿った庭しかなかった。日中でもあまり陽の光りの差さない暗い居間、奥…

郡さんは、まずひとりの読者として書物に向き合う姿勢や理念、それと、身銭を切って買って読むことの大切さの話をしているのに、そこはまったく話題にもならずに回避され、「クッキー」「フリマ」という言葉のみが切り取られ(確かに、誤解を受けても仕方が…

ここのところ、毎日更新されているnさんの日記を読むのが愉しみになっている。言葉にたいしてどれだけいっしんに向き合っているか。向き合い方が違う。かえりみて、わたしは駄目だなあと思う。こまぎれの時間にちらっと読んでいるだけだもの。最近、テレビの…

『蒼生2019』を読みたいなとTwitterで呟いたら、とある方のご厚意でお送りいただいた。ここでは名前を挙げられませんが、深謝いたします。 話題の特集「文学とハラスメント」に掲載の笙野頼子の原稿を読んで、依頼者の学生への優しさ―笙野頼子はいつも弱い者…

氷見敦子、長岡三夫 ○ 征矢泰子 △ 北川朱実『死んでなお生きる詩人』(思潮社)を読んだので、以下やや怒りながらメモ。 主観的すぎる。感動の押し売りというのか。この内輪サークル感! だから詩の世界はダメなんだと思ってしまう。〜と言ったのは〇〇だが…