しっぷ・あほうい!

或る日のライブラリアンが綴るあれやこれや

2009-01-01から1年間の記事一覧

今回の旅の目的は「とある二都物語」に参加するためだったので、家人とふたり駆け足での神戸ー京都ゆきとなり、神戸では、お昼に「とんかつ武蔵」で貝屋のかまぼこ(竹中郁のご贔屓「ぐーっとまげても割れへんのや、うまい。」)を食べて感動したことと、閉…

『リアン』と『詩と詩論』と『詩・現実』のこと、それから衣巻省三 内堀さんが対話の中で、『リアン』が掲げたのはシュルレアリスムは革命の芸術であり、春山行夫の『詩と詩論』はフランスのシュルレアリスムの紹介にすぎないではないか!ということをおっし…

とある二都物語:山上の蜘蛛、あるいはボン書店の幻 モダニズム詩の光と影 海の見える瀟酒な洋館グッゲンハイム邸にて、扉野良人さん主催の「とある二都物語 山上の蜘蛛、あるいはボン書店の幻 モダニズム詩の光と影」に参加する。オープニング音楽は「かえ…

休み時間にせっせと伊達得夫に関する文章を集めている。 真理ちゃんと百合ちゃんのお父さんの仕事はふしぎな商売でした。 詩集や詩論の本は少ししか売れず、ふつう、それは商売にはなりません。他の本を出している本屋さんとか、印刷屋をしている閑な人が、…

そうそう、そして、詩とその周辺の私的読書の最後を飾る(?)素敵なイヴェントが冬至の日の神戸でありますよ!今、いちばん刊行を楽しみにしている"Donogo-o-Tonka"の版元りいぶる・とふんの主宰で、季村敏夫と内堀弘がモダニズム詩について語る、とくれば.…

一月十六日、一月十六日:伊達得夫と岡田時彦 田中栞『書肆ユリイカの本』(青土社、2009年)とその展示とトーク・イヴェント「書肆ユリイカの本・人・場所」の余韻を引きずったまま、平出隆×扉野良人対談では「荒地」の詩人たちの話を聞き、間奈美子さん主…

透明な巨人:瀧口修造おぼえがき もうすぐ11月も終わり、真っ青な高い空にくっきり映える黄金色の銀杏が眩しい並木道を歩く日々もまもなく終わり。 必要があって*1、瀧口修造関連の本をその予習として読んでいるのだけれども、戦前から唯一シュルレアリスム…

「胡桃」と「どんぐり」:ふたつの木の実たち; 第37回西荻ブックマーク 2009年11月15日(日曜日) 平出隆×扉野良人師弟対談 座っているだけでなんとも絵になるお二人に、トークショーなんていう軽々しい言葉はどうもしっくり来ないのです。かと言って、重々…

今日のうちに記しておきたい ポレポレ東中野にて本日より岡田茉莉子の特集上映がはじまった。今日は2008年にフィルムセンターでかかったマキノ雅弘特集上映で都合で見逃していた『やくざ囃子』を観る。鶴田浩二が陽気に歌を唄いながら軽やかに人を斬ってゆく…

素敵な催しのご案内をいただきました: アトリエ空中線十周年記念展 インディペンデント・プレスの展開 Development of an Independent Press : the first decade of Atelier Kuchusen 2009年11月13日(金)〜12月6日(日) 於・ポスターハリスギャラリー h…

またしても冨士原清一のこと ある日。 まっさおさおの空の下、駒場公園で降りて日本近代文学館へゆく。文学館へ至る道に植わっている花水木の葉が赤と緑と褐色のグラデーションでとても美しくて、それを見ると何故かいつも「林檎の礼拝堂」を思い出してしま…

牛原虚彦のピカピカのモダニズム! フィルムセンターの特集「生誕百年・映画女優 田中絹代」にて、未見だった岡田時彦の出演映画を無事に鑑賞できてほっとしています。以下、観た順に感想をメモ。 ・島津保次郎『愛よ人類と共にあれ』(1931年、松竹蒲田) …

11月15日、西荻で素敵なイヴェントがあるそうですよー! http://nishiogi-bookmark.org/2009/nbm37/ 平出隆『葉書でドナルド・エヴァンズに』をこよなく愛し、扉野良人編集『ドノゴトンカ』次号を心待ちにしている読者としてはこれは駆けつけないと。 2009年…

帰宅すると、郵便受けに石神井書林古書目録79號が届いていた。あんなに安い買物しかしていないのに......じーんと感動の巻。台所の丸椅子に座り、蛍光灯の灯りで目録を眺めながら夕飯を作る、蕪の葉とじゃこ炒め、焼き厚揚、きんぴら煮、わかめご飯、長芋の…

雨が降ったからなのかどうなのか、昨日の夕方からとつぜん金木犀の甘い香りが鼻をかすめるようになった。 月曜日、古書会館で開催中の『書肆ユリイカの本』展にゆき、奥平晃一(田村書店店主)、郡淳一郎(元・青土社『ユリイカ』編集長)、田中栞(紅梅堂)…

フィルムセンターにて上映中だった『生誕百年 映画監督山中貞雄』が終わったのでメモ。 山中貞雄が学生時代に使用していた辞書の左隅の小さな余白に「パラパラ漫画」は描かれていた。おお!馬が川を越えて走って行く、ピクトグラムのような人が刀を交えてそ…

「神戸詩人事件」とその周辺: 足立巻一『親友記』(新潮社、1984年)*1 「神戸詩人事件」についても書きたい、とか何とかいばってはみたものの、わたしは「神戸詩人事件」について、ほとんど何も知らないのだった。唯一、わたしの教科書であるところの、中…