しっぷ・あほうい!

或る日のライブラリアンが綴るあれやこれや

2008-01-01から1年間の記事一覧

2008年にスクリーンで見た映画ベスト10+3をメモ(鑑賞順)。来年も良い映画にたくさん出逢えますように! ・牛原虚彦『海浜の女王』(1927年、松竹蒲田)*1無声映画鑑賞会にて。パッツン前髪がルイーズ・ブルックスそっくりの「伝説のモダンガール」こと柏…

見たことを忘れないうちに映画メモ。 この忙しいのに、そして体調もイマイチなのに、新文芸座に『限りなき前進』『人情紙風船』という豪華二本立てなので、これだけは、と、いそいそと観に行く。 小津安二郎が原作「愉しき哉保吉君」を書き(と、いうか野上…

僕のあやまち 神保町シアターにて、山田五十鈴特集の中の一本、マキノ正博『待って居た男』(東宝、1942年)を二年振りに観る。今年は一月からマキノ漬けの日々を過ごし、年末になってもまだマキノを観ている。まさに2008年はわたしにとっても幸福なマキノ・…

と、久々の更新がお知らせだけじゃ何なので......。 本日12月11日は1908年生まれのマノエル・ド・オリヴェイラ、100回目のお誕生日!ワオ!マキノ雅弘と同い年(←正確には早生まれだから違うけど)で、2008年現在に存命しているだけでも凄いのに、しかも現役…

取り急ぎお知らせ。来年三月に日本近代文学館にて開催されるシンポジウム「尾崎翠の新世紀」の公式サイト(http://osakimidori.info/)が正式オープンしています。予約の受付は来年一月から。講演に川上未映子さんと池内紀さん。パネルディスカッションに吉野…

[murmur]

遊覧日記 散歩日和の土曜日、目白駅からバスに乗って講談社野間記念館にて「講談社の「出版文化資料」展」を観る。1925年に創刊されて爆発的な人気を呼んだ『キング』の表紙をしみじみ眺めながら「これがあの美しいプラトン社の雑誌『女性』や『苦楽』を廃刊…

chiclin et mitsouが無事に終わり、続けてH大学での四日間みっちりの講習週間が終わったかと思ったら、明けて今週からは担当業務の変更とその引き継ぎと、おまけに来年三月まで抱えてるイヴェントとで、もうばたばた。心がいつまでもざわざわと落ち着かずに…

お知らせです。待望の尾崎翠シンポジウム、2009年、TOKIOで開催! 尾崎翠の新世紀 ー第七官界への招待ーhttp://osakimidori.info/ 日時:平成21(2009)年3月27日(金)、28日(土) 会場:日本近代文学館・講堂 主催:「尾崎翠の新世紀」実行委員会、鳥取県…

雁来紅の赤と山中貞雄 加藤泰『映画監督 山中貞雄』*1を読んでいたら、『キネマ旬報』(1939年(昭和14年)9月11日号)に掲載された小津安二郎による山中貞雄の追悼文「雁来紅の記」が引用されており、それを読んではっとする。 山中に召集令状が来たのは暑…

その前の日の土曜日、東京国立近代美術館フィルムセンター(http://www.momat.go.jp/FC/fc.html)にて、伊藤大輔『お六櫛』(第一映画、1935年)を観た。これはたぶん伊藤大輔の作品としては凡作に入る映画だろうと思っていたけれど、月田一郎と山田五十鈴が…

「1930年代・東京」展(http://www.teien-art-museum.ne.jp/exhibition/1930/index.html) 日曜日、東京都庭園美術館にて、前から楽しみにしていた「1930年代・東京」展へ行く。一等はじめに大好きな長谷川利行《地下鉄ストアー》(1932年)が展示されていて…

連休お出かけメモ:

お知らせ:伊藤大輔とか言っている次のエントリーに書くのもどうかと思うけど イラストレーターの福田さかえさん*1の展示"tiny shoes"が学芸大学のギャラリーtray*2で開催中。和紙を思わせる柔らかい紙に描かれたイラストはところどころ輪郭が滲むような効果…

マキノ祭りだった京都映画祭(冨田美香先生のお話,聞きたかった!)にも行けず、フィルムセンター「大河内伝次郎と伊藤大輔」特集の『忠次旅日記』は風邪による体調不良で見逃し、あのビクトル・エリセが推薦した(!)というホセ・ルイス・ゲリン『シルビ…

最高に粋な粋な映画:エルンスト・ルビッチ『天国は待ってくれる』 エルンスト・ルビッチの遺作とも言うべき晩年の作品『天国は待ってくれる』(1943年)を観る、素晴らしかった!あいにくスクリーンでという訳ではなく、家の小さなブラウン管を通して観たの…

ふたたび、ハンマースホイのこと ハンマースホイは線の画家だ。 「私にモチーフを選ばせるもの、それは線です。それを私は絵画における建築的成分として名付けるつもりです。そして、もちろん光も重要です。ただし明らかに、私にとってきわめて重要な意味を…

ヴィルヘルム・ハンマースホイ展 静かなる詩情 Vilhelm Hammershøi: The Poetry of Silence(http://www.shizukanaheya.com/) 国立西洋美術館にて、ヴィルヘルム・ハンマースホイの展示を観る。 何点かの風景画を除けば、ほとんどモノトーンとも言えるほど…