しっぷ・あほうい!

或る日のライブラリアンが綴るあれやこれや

2008-02-01から1ヶ月間の記事一覧

執筆陣がなかなか豪華*1な高見順編『銀座』*2(英宝社、昭和三十一年)を読んでいたら、巻末の「銀座あれこれ」という対談のなかで、高原四郎(毎日新聞学芸部)が「銀座で思い出す人」として高田保と新居格の名前を挙げていた。それで、いつものとおりの単…

強風の吹きすさぶ土曜日、東京国立近代美術館フィルムセンター(http://www.momat.go.jp/fc.html)にて、マキノ雅弘『浮雲日記』(東宝、1952年)『離婚』(新東宝、1952年)を観る。 『浮雲日記』 主人公の重光彰の喋り方を見ていて何故か早稲田の斎藤佑樹…

映画メモ: 神保町シアターにて、市川崑『穴』『プーサン』を観た。『穴』(1957年)はほとんど京マチ子の独り舞台であった。山村聡はシリアスな役どころの時(『山の音』『舞姫』『女優須磨子の恋』など)はあまり好きではないが、こういうコメディに出ると…

英パンの誕生日にロブ=グリエが亡くなった さて、昨日(2月18日)は我が愛する岡田時彦の生誕105年にあたる日だったので、彼が映画雑誌に寄せた随筆や『春秋満保魯志草紙』の一節など読んで過ごす。はじめて見た時はおおいに感動したのだけれど、英パンの手…

市川崑を観て溝口健二のことばかり思い出す 土曜日、神保町シアターに市川崑を観に行く。 市川崑『日本橋』(1956年、大映) 本当はサイレント時代の溝口健二『日本橋』(1929年)が観たいけれど、それが叶わないので、せめて市川崑の『日本橋』でもいいから…

市川崑監督が亡くなられたのですね、九十二歳。オリヴェイラよりまだ七歳も若いのに....。亡くなる前の日に、偶然にふとした出来心で、山根貞男が『季刊 リュミエール』に書いていた「最後の加藤泰」という文章を読んでいて、加藤泰もキネカ大森にて特集上映…

金曜日にアテネフランセで数年振りに成瀬巳喜男『流れる』を観て、翌土曜日にBunkamuraル・シネマでジャン・ルノワール『恋多き女』"Elena et les hommes"を観ることができるという、2008年東京の贅沢!今気付いたけれど、どちらも1956年の作品だった。 ジャ…

先月の北風吹きすさぶ或る土曜日、代官山のlimArtにて、葉書をいただいて楽しみにしていた山下陽子さんのコラージュ展「キャンドルとコラージュ展 "見捨てられた断片" CANDLE STUDIO MAGIERA+山下陽子」を観に行く。 明るい陽光が差し込む白壁の静謐なギャ…

成瀬巳喜男『三十三間堂通し矢物語』(東宝、1945年)を観にアテネフランセへ行く。二枚目の長谷川一夫があまりにも「ザ・二枚目」なので、ラストの田中絹代が独り言つ「立派なお方」という長谷川一夫を称賛する台詞を聞いて、思わず笑ってしまったけれど(…