しっぷ・あほうい!

或る日のライブラリアンが綴るあれやこれや

2011-12-01から1ヶ月間の記事一覧

言葉を失った状態が長くつづいたので、言葉を読むことに困難をおぼえた一年だった。上に挙げたのは、その中でのささやかな収穫です。今年は集中力を持続して読むことができなかったという外的要因もあるけれど、言葉の多い小説よりも言葉の少ない詩のほうに…

2011年の3+5(読んだ順・観た順) [小説・評論] ・デボラ・ソロモン『ジョゼフ・コーネル 箱の中のユートピア』(白水社)(id:el-sur:20110308)*1 ・山田稔『日本の小説を読む』(編集グループSURE)*2 ・ローベルト・ヴァルザー『助手』(鳥影社)(id:el-…

この一年 それにしても、何という年になったのだろう。 二月の終わりに、母方の祖父が亡くなった。生粋のハマっ子で、威勢の良いべらんめえ口調は、子どもごころにも「おじいちゃん、かっこいいなあ」とわくわくするものとして届いていた。いつもこざっぱり…

ローベルト・ヴァルザー作品集2『助手』(鳥影社、2011年)*1を読み終える。 玄関のベルを鳴らしドアを開けて「宵の明星館」に入っていった若者ヨーゼフ・マルティは、最終頁でスーツケースを地面から拾い上げると人生の落伍者ヴィアジヒとともに館を出てゆ…