しっぷ・あほうい!

或る日のライブラリアンが綴るあれやこれや

2007-09-01から1ヶ月間の記事一覧

南部僑一郎『愛の国境線 炎の女 岡田嘉子』(ノーベル書房、昭和44年) こーれーはー凄い本。何がってタイトルはまるで岡田嘉子の伝記本なのに、中身はもちろん岡田嘉子のことも書かれてはいるものの、その当時の映画人たちの素顔や人となりについての描写に…

連休中は、憧れの富士屋ホテル(和洋折衷のうっとりするような建造物!なのだけれど、よくよく細部を見ると素敵なだけではなく結構可笑しい部分もあって楽しいのです、階段の手すりには猿を狙っている蛇が彫られていたり、「国際髭学会」なる古今東西のお髭…

「モダン・ボーイ溝口、日本を再発見」 先週末の溝口健二『瀧の白糸』鑑賞に向けて、毎日その日が来るのを指折り数えながら、ほとんど何をやっても上の空でただただ英パンとの「逢瀬」を(って、もう阿呆ですね、逢瀬って(笑))待ちこがれていたので、無事…

溝口健二『瀧の白糸』(1933年、入江ぷろだくしょん/新興キネマ) 「泉鏡花の『義血侠血』を原作とする、無声期の溝口を代表する新派メロドラマ」(フィルムセンターで行われた特集上映「没後50年溝口健二再発見」紹介文)で、現存していない『日本橋』以来…

昨日は、新文芸座にて溝口健二『瀧の白糸』『折鶴お千』を観て、今日は『赤線地帯』『祇園囃子』を観る。体調が悪くて『雪夫人絵図』が観られなかったのは残念だったけれど、溝口週間、我ながらよく通いました。『折鶴お千』の山田五十鈴も、昨年に引き続き…

岩本憲児・佐伯知紀編著『聞書き キネマの青春』(リブロポート、1988)と岩崎昶『映画が若かったとき 明治・大正・昭和 三代の記憶』(平凡社、1980)を読んでいたらどうにもおもしろくて、昨年フィルムセンターで観た『西鶴一代女』はまあいいとしても、最…

溝口映画を観ることは「義務」とエリセは言う 昨年スクリーンで観た映画で一番の衝撃だった溝口健二『浪華悲歌』(id:el-sur:20061215)『祇園の姉妹』(id:el-sur:20061204)が再びスクリーンにお目見えするというので、朝もはよから新文芸座に駆け込む。タ…

溝口健二『愛怨峡』(新興キネマ、1937年) これは傑作。 わたしの中では「大政」(勿論、あの素晴らしきマキノ雅弘『次郎長三国志』シリーズ!)ということになってる河津清三郎は名優なのでいつもの通り素晴らしくてシビレたけれど、主人公・ふみ役の山路…

<岡田時彦写真館の巻> 英パン、英パンて四六時中騒ぐので家人には呆れられ、図書館ではとっぷり日が暮れるまでひたすらいそいそと英パン探しに没頭し、最近ではついに四文字の字画が似通っている漢字はすべて「岡田時彦」に見えてしまう(それはまさしく幻…