しっぷ・あほうい!

或る日のライブラリアンが綴るあれやこれや

2007-01-01から1年間の記事一覧

夏休み中は椅子の上に堆く積み上げられていた古本の山を整理して、映画(山中貞雄『丹下左膳余話 百萬両の壺』『人情紙風船』ニコラス・レイ『暗黒街の女』ウディ・アレン『アニー・ホール』)と美術館(東京藝術大学大学美術館「金刀比羅宮 書院の美 応挙・…

岡田桑三=山内光のこと その弐 母の教会人脈がもたらした岡田桑三の豊かな文化環境については、本当に羨ましくなるほどに様々な出会いがあるのだけれど、特に個人的に興味深かったのが大橋家(横浜弁護士会会長・大橋清蔵とその妻・繁子、養女の房子)をめ…

岡田桑三=山内光のこと その壱 岡田時彦『春秋満保魯志草紙』(昭和3年、前衛書房)に「Monsieur Camouflage」なる文章がある。 其の僕を称して、俗に能書屋桑兵衛と號する山内光が一言以てMonsieur Camouflageと云った。(中略)此の點山内光が云ったムシ…

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<本日の英パン発見> 『洋酒天国』51号(洋酒天国社, 昭和三十六年) えー、開高健の『洋酒天国』の目次に、あら、岡田時彦の名前が、はてな?と思って、いそいそとこの号を取り寄せてみたら、なるほどこういうことだったのね。 おくればせながらリバイバル…

夢の記憶、記憶の夢 首筋をじりじりと照りつける午後の強い日射しが、放課後の乾き切った砂埃の立ち上る校庭の何もかもを白い白い光で包む頃、植物の本能が鬱陶しくなるほどにびっしり色濃く葉を付けた桜の枝が陽光に向かって大きく迫り出すので、あんなにも…

何て蒸し暑い一日! すんでのところで出かけるのを止めようかと思ったけれど、あとで後悔するのが目に見えているから、今日もシネマヴェーラで清水宏『簪』『暁の合唱』(1941年)の二本を観る。『簪』は例によって斉藤達雄(ちょっぴり偏屈な学者先生といっ…

映画のあとは、東急東横線に乗って、長いことの念願かなって学芸大学のマッターホーンに行く。ああ!本当に長いことずっと行きたかったのに、ようやく行けた。鈴木信太郎画伯によるサーモンピンクの愛らしい包装紙ととぼけたような人形が描かれた缶を手に入…

今週末もシネマヴェーラで映画鑑賞からスタートする暑い一日、今日は清水宏の『不壊の白珠』(1929年)英語字幕版。なんでもチェコの映像所にて当時の指定に即しての復元版ということで、まるでセピア色の写真に彩色したお土産ものの絵葉書のような画面に、…

清水宏『恋も忘れて』(1937年・松竹大船) 溜池のダンスホール、フロリダでナンバーワン・ダンサーだった「ミッチー桑野」こと桑野通子が主演していて、彼女がダンスホールで踊る姿を観られる映画、しかも、舞台設定は岡田時彦も一時期住んでいた横浜・本牧…

いそいそと早起きしてシネマヴェーラにて清水宏『港の日本娘』(1933年)を観る。 こーれーはー、期待通り、いや、それ以上のかなりのモダン乙女映画! こんな可憐な少女たちが主人公の映画を清水宏が撮っていたなんて、びっくり。 舞台は異国情緒溢れるモダ…

いそいそと早起きしてシネマヴェーラにて清水宏『銀河』(1931年)を観る。 サイレントなのに188分て!な、長ーい。だもんで、途中何度か睡魔に襲われて物語の筋を見失ってしまったところもあったけれど、菊池寛ばりのメロドラマで堪能しました。火の燃え盛…

土曜日、シネマヴェーラのモーニングショーにて清水宏『風の中の子供』(1937年)。 小津安二郎『淑女は何を忘れたか』にて「とんがらかっちゃ駄目よ」コンビの葉山正雄と突貫小僧が出ている!のだけれど、この映画では何と言っても三平役の爆弾小僧が大そう…

<本日の英パン発見> 長谷川泰子『中原中也との愛 ゆきてかへらぬ』*1 椿寺の下宿は学生が多かったけど、一階には女優の葉山三千子さんが松山とかいう日活の俳優を一緒に住んでおりました。二階と一階だったんですけど、一軒の家だからすぐ仲よくなりました…

今日もフィルムセンターにて川島雄三『洲崎パラダイス 赤信号』(1956年)『銀座二十四帖』(1955年)を観る。『洲崎パラダイス』は噂で大へん混んでいると聞いていたので早めに行って、その前に大好きな利休庵にでも寄ってお蕎麦を食べてからと思い、小雨降…

シネマヴェーラの清水宏特集!いよいよ、14日から。 http://www.cinemavera.com/schedule.html 2003年のフィルムセンターでの清水宏特集の時は、運悪く日々に忙殺されていて全く通えなかったので、これは嬉しい!蒲田時代の『不壊の白珠』『銀河』『港の日本…

しつこいようですが....。 <本日の英パン発見> 内田吐夢『映画監督五十年』*1 谷崎潤一郎先生にはじめてお会いしたのは、横浜元町の大正活映のセットの中だった。それは丁度、先生の第一回作『アマチュア倶楽部』の撮影中だった。(中略)谷崎先生は、その…

<本日の英パン発見> その1: 山本嘉次郎『カツドウヤ紳士録』(大日本雄弁会講談社、1951年)に岡田時彦のことが出てくる。貧乏に喘いでいても、いかに彼が洒落男だったかが手に取るように伝わってくるくだりがおもしろい。自伝の中で「凡そ此のモダアン・…