しっぷ・あほうい!

或る日のライブラリアンが綴るあれやこれや

2009-01-01から1年間の記事一覧

楽しみなこれから出る本: ・コレクション・都市モダニズム詩誌 全15巻(ゆまに書房) http://www.yumani.co.jp/np/isbn/9784843328774 『Cine』が見たいので愛知県立図書館に行くかなーと思っていたところにこれは嬉しい。 ・キネマ旬報(1927〜1940年)復…

映画メモ:小津安二郎のモダニズム 新文芸座で小津安二郎特集がはじまっているというのに、雑務に追われてなかなか行けなかったのを、これだけは!と休みを取って観に行く。小津作品はしょっちゅう何処かで上映されているけれど、サイレント時代の作品は『生…

京阪神遊覧日記その三:大雄寺へ山中貞雄のお墓参りにゆく 阪急電車に揺られて京都へゆく。京都、ああ、ご無沙汰の京都....!こんなに好きな土地なのに三年振りである。京都の地に降り立つだけで嬉しくてそわそわ、三条のホテルにさっさと荷物を預けて、いざ…

京阪神遊覧日記その二:「けれども三昧」ー待兼山で『大大阪観光』(1937年)を観る 二日目は駆け足での大阪観光であった。阪急宝塚線に乗って、大阪大学総合学術博物館にて開催中の《昭和12年のモダン都市へ 観光映画「大大阪観光」の世界》を観に行く。成…

京阪神遊覧日記その一:神戸アカデミー・バーつれづれ 二年越しで訪問を心待ちにしていた1922年創業のバー・アカデミーにようやくゆくことができた。「つたのからんだ ある ふるい」小屋という感じの、つやつやした初夏の若草色の蔦に覆われたその建物は、バ…

久生十蘭「妖術」のモデルのこと 京阪神行きの資料も読みつつ、灰色のクロス製本が美しい『定本久生十蘭全集1』(国書刊行会、2008年)*1を合い間合い間に読んでいるのだけれど、1938年に執筆された三一書房の全集未収録の「妖術」という作品が気になってい…

HE COMES FROM KOBE 尾崎翠作品の初出誌を半日書庫に籠って色々調べていた時に、『新科学的文藝』に掲載されていた稲垣足穂の級友・衣巻省三の神戸に関するエッセイがちょいと素敵だったのでコピーしておいたのを今になって引っ張り出してみる。ええ、何故っ…

 シンポジウム「尾崎翠の新世紀」無事に全日程を終了いたしました!

ご出演いただいたみなさま、場所を提供してくださった日本近代文学館のみなさま、関係者ならびプレスのみなさま、そして何よりもこのシンポジウムに足を運んでくださったみなさまに心よりお礼を申し上げます。公式ページの方でご意見・ご感想を募集しており…

シンポジウム「尾崎翠の新世紀」はいよいよ明日からです!

今日、尾崎翠の「途上にて」(昭和六年四月)を読み返していたら、「中世紀氏」と「フロインデイン」という言葉が気になった。「中世紀氏」という言葉が気になった訳は今日は時間がないので後日述べることとして、「女ともだち」と注がついている「フロイン…

雄松堂が出版しているマイクロフィッシュ版『精選近代文芸雑誌集』シリーズ(http://yushodo.co.jp/micro/kensaku/zassi/zassi-mok2.html)は、「あ、この人がこんなところに」とか「あら、この人にこんな一面が!」などと閲覧しはじめると幾ら時間があって…

3/27, 28に駒場の日本近代文学館で開催される「尾崎翠の新世紀」(http://osakimidori.info/)シンポジウム、追加予約の受付は本日15:00からです!残席は僅かですのでお早めのご予約をお願いいたします。(追記:予約受付は終了いたしました。) 当日、来場…

本日代休、歯医者の日。今月は文字通り休日返上で尾崎翠と入試業務(ようやっと終わった.....)の日々。それでも、これだけはと駆け込みで観に行った銅版画家・山下陽子さんとyoshinobの展示は、パリのギャラリーみたいな場所含めてうっとり指数120て感じの…

美しい装丁と洒脱なセンスで他の追随を許さない「日本のガリマール」(って今勝手に名付けた)こと、みすず書房の発行している、月刊『みすず』(http://www.msz.co.jp/book/magazine/)最新号no.568(2009年1・2月号)は「読書アンケート特集」。 みすずの…

モダン都市・名古屋とその周辺 昨年末から楽しみにしていた"Donogo-o-Tonka"『ドノゴトンカ』0号(創刊準備号)(りいぶる・とふん、2008年)をとある方のご好意でいち早く手に入れてからというもの、またしても西のモダニズムがにわかに気になり出して、居…

忙しい.....とぼやきつつも、神保町シアターにて、島耕二『東京のヒロイン』(新東宝、1950年)を観る。 今回のフィルムは、短縮版というかなり不完全なもので、お世辞にも画質がよいとは言えない代物であった。とは言え、監督の島耕二は、何しろ俳優時代に…