しっぷ・あほうい!

或る日のライブラリアンが綴るあれやこれや

2009-01-01から1年間の記事一覧

モダニズムいわれるのがきらいやねんけど: 季村敏夫『山上の蜘蛛 神戸モダニズムと海港都市ノート』(みずのわ出版、2009年)*1 扉野良人『ボマルツォのどんぐり』経由で、寺島珠雄『南天堂 松岡虎王麿の大正・昭和』に出逢い、内堀弘『ボン書店の幻』を読…

九月十七日は山中貞雄の命日なので、フィルムセンターで開催中の「生誕百年 映画監督山中貞雄」(http://www.momat.go.jp/FC/NFC_Calendar/2009-9/kaisetsu.html)にて『海鳴り街道』(1936年、日活京都)『大菩薩峠 甲源一刀流の巻』(1935年、日活京都)を観る…

冨士原清一のこと: 夏の終わりに立ち寄った古書展にて購入した、鶴岡善久編『モダニズム詩集 I』(思潮社、2003年)を読んでいたら、1944年に南洋の島で戦死した冨士原清一の詩が載っていて、それがとても気に入る。何と言うか、透明できらきらしているんだ…

田中栞さんの『書肆ユリイカの本』(青土社)*1刊行記念トークショーに予約した。楽しみ。 「書肆ユリイカの本、人、場所」 出演 奥平晃一(田村書店店主)×郡淳一郎(元・青土社『ユリイカ』編集長、校閲者)×田中栞 日時:2009年10月5日(月)18:00開場 18…

一千九百二十九年の"CINE"から二千九年の"Donogo-o-Tonka"へ 夏休み最後の日は、朝から国会図書館にてせっせと閲覧三昧。ブルトン、アラゴン、エリュアールなどフランスのシュールレアリスムを積極的に紹介した上田敏雄・保の『文芸耽美』、名古屋のモダニス…

神保町シアターにて、成瀬巳喜男『晩菊』(1954年、東宝)をようやく観ることができた。素晴らしかった......!今まで観た成瀬作品はせいぜい二十本くらいだけれど、これはもしかすると『流れる』と並ぶマイ・ベストかも.....。杉村春子先生や沢村貞子が上手…

先日の第34回西荻ブックマーク「ガルボのように---1920-30年代東京・モダンガールとしての尾崎翠」に拙文が掲載されました。こちら→http://nishiogi-bookmark.org/2009/nbm34report/ トークセッションで小澤英実さんが挙げられていた"The Modern Girl Around…

何とマア美しい本!: プレス・ビブリオマーヌ『山中散生詩集 夜の噴水』(1963年) シュルレアリスムに格別の興味があるという訳ではないけれど、気になる名古屋モダニストの一人、山中散生の詩集は、久々に造本の美しさにクラクラした本.......!こういう…

鈴木卓爾 『私は猫ストーカー』 あんな謎な客層の映画ははじめて、というくらい老若男女入り乱れ、おまけに子供までいた。文化系若人で溢れ返っていると思っていたのに意外。まもなく客席の大部分を占めるその手の方々はひたすら猫目当てに来ているのだとい…

映画覚え書き:ボリス・バルネット『青い青い海』(1935年) 水曜日、アテネ・フランセにて、ずっと長いあいだ見逃し続けていたボリス・バルネット『青い青い海』(1935年)をようやく観る。洗練から遠く離れた『ジュールとジム』もしくは『冒険者たち』ある…

日曜日、第33回西荻ブックマーク「『昔日の客』を読む〜大森・山王書房ものがたり〜」に参加する。ここだけの話(?)私小説にはさほど興味がなく、上林暁、尾崎一雄、木山捷平、野呂邦暢など名前しか知らず読んだこともない(うわーすみません......)のだ…

「アリストテレスの後裔」のこと 全集未収録のエッセイとして『詩神』(1931年7月号)に掲載されたアンケート「この人・この本」によると、尾崎翠が「会ったことで会ってみたい人」として「アリストテレスの後裔」の作者と答えている。「アリストテレスの後…

今夜の月はイナガキ・タルホ氏が腰掛けていそうな山吹色の三日月だ。 Ode to the Moon/稲垣足穂月はいいな! 泣かないし笑はないし いやに熱つぽくもないし ハイカラで美人だし 学者だし いつも孤独で新らしいのだし さうして同時に東洋的で西洋的の この品…

尾崎翠の新世紀ふたたび: KAWADE道の手帖『尾崎翠 モダンガアルの偏愛』*1(河出書房新社, 2009)を送っていただいた。木村カナさん、河出書房のSさん、どうもありがとうございます。 この本は、今年の3月に日本近代文学館で開催された尾崎翠シンポジウムが…

ユキや 先月の25日に実家のユキが死んだ。 長毛の白い毛並にところどころ黒の斑を付けて、少し緑がかったマスタード色の眼をした、とても人なつこい猫だった。年老いる前はぴんと張った立派な髭を生やした頬が、木の実を詰め込んだ冬眠前のリスのようにまあ…

週末つれづれ記: 先週の新文芸座での小津安二郎特集では、無事に岡田時彦主演の映画を二本鑑賞することができ、ほっとしているところ。改めて見直してみると『淑女と髯』(1931年)は傾向映画すれすれの危なっかしさ(字幕や脚本には無いものの髭面のマルク…