しっぷ・あほうい!

或る日のライブラリアンが綴るあれやこれや

cinema

五所平之助『マダムと女房』(1931、松竹蒲田) 「日本映画史上初のトーキー」としてその名前だけは矢鱈に文献などで目にすることも多かったのに、どうもぼんやりとしていてフィルムセンターでの上映も何度か見逃し続けていて、ようやっと念願かなって本日、…

夕刻、早足で渋谷駅をひたすらまっすぐに通り抜けてシネマヴェーラへ。 時間ぎりぎりに間に合って、渋谷実『自由学校』『酔っぱらい天国』を観る。 『酔っぱらい天国』(1962) 「あの」笠智衆にあんなドタバタをやらせるなんてーという感じで、割と気の毒で…

エルンスト・ルビッチ『生活の設計』(1933)を日仏で。 ルビッチはほんとに上手いなあ。 最近とみに古い日本映画づいていて実は洋画を観るのは久しぶりだったのだけれど、こういう一つの作品として始めから終わりまでプロットに全く隙のない素晴らしい傑作を…

吉村公三郎『暖流』(1939年・松竹大船) 素晴らしかった。 当時はまだ日本では珍しかった女性の自我の萌芽という西欧的な主題をフランス近代劇のような流麗なタッチで描くという、劇作家・岸田國士の原作を映画化した作品で元々ベテランの島津保次郎が監督…

新文芸座で吉村公三郎『西陣の姉妹』と『貴族の階段』の二本立てを観る。 『西陣の姉妹』(1952年 大映) 京都・西陣で栄華を極めた名織元の大森家が時代の流れとともに没落して多額の借金を抱えたまま店の主人は自殺。後に残された三姉妹と母親、それを取り…

マキノ雅弘『弥次喜多道中記』(1938)『次郎長三国志 第三部 次郎長と石松』(1953)『次郎長三国志 第四部 勢揃い清水港」 (1953) 山手線の改札を出てそのままマークシティの4階からすいすいっと円山町のホテル街を抜けて坂を下るとすぐ辿り着くことのできる名…

木村荘十二『ほろよひ人生』(P.C.L, 1933) フィルムセンターにて「和製ミュージカル第一号」と名高いP.C.Lの『ほろよひ人生』鑑賞。 前身は写真化学研究所で、「ピー・シー・エル映画製作所」(のちの東宝)と改称した後の記念すべき第一回自主製作作品。 …

追記:さっき、ミスハタリさんの日記で発見!27日からシネマヴェーラでマキノ時代劇がかかるんですって!うおーこりゃ新年早々幸先いいなあ。『弥次喜多道中記』『続清水港』『待って居た男』『昨日消えた男』どれもこれも最高!まだ観ていないのもたくさん…

山崎まどかさん*1がやっていた、フィルムで観てよかった旧作映画ベスト10をわたしもやってみんとしてするなり。順位がついていますが、1位はともかく、2-5位はほぼ同じくらいどれも素晴らしかった作品です。来年もまた良い映画が沢山観られますように。 1. …

溝口健二『浪華悲歌』(1936) 平日は夜の七時、セルリアンブルーとマンダリンオレンジの地下鉄をすいすいと乗り換えてフィルムセンターに寄れる日はたいへんに上機嫌。昨日は『祇園の姉妹』と同じ年に撮られた『浪華悲歌』を観る。またしても素晴らしいのは山…

早退けしてフィルムセンターで溝口健二『女優須磨子の戀』。今回の溝口特集でこれだけは観たい!と熱心に思っていたのだけれど、はたと立ち止まって考えてみるとどうしてそう思い込んでいたのやら判らない。主演は(特に好きな女優さんではない)田中絹代だ…

土曜日は『噂の女』『祇園の姉妹』をフィルムセンターに観に行く。*1東京で音楽学校に通う女学生(久我美子)が手痛い失恋をして、京都の島原遊郭で老舗の置屋を営む実家に戻ってくるというところからスタートする『噂の女』は彼女のモダンガールぶりが見も…

秋になると何故だか小津が観たくなる。『秋刀魚の味』『秋日和』『彼岸花』...秋に観たらしっくりくる映画が多いからか知ら。毎回せっせとレンタルヴィデオを借りるのも何なので思い切ってそろそろ中古市場でも売り切れそう(?)なDVD-Boxのvol.1*1と2*2を…