しっぷ・あほうい!

或る日のライブラリアンが綴るあれやこれや

2008-01-01から1年間の記事一覧

来月の下旬からはじまるぴあフィルムフェスティバル、招待作品は前から観てみたかったダグラス・サーク特集と聞いて張り切ってプレオーダーでチケット取った(ら、なんか謎なお金がたくさん計上されて嫌でした.....)のですが、いったいどの作品を観たらいい…

映画メモ: 土曜日、神保町シアターにて五所平之助『新道[前後篇]』(松竹大船、1936年)を観る。通俗小説の大御所・菊池寛原作で、佐分利信・上原謙・佐野周二の二代目松竹三羽烏が出演しているメロドラマ、主演は田中絹代と川崎弘子。五所福之助による美…

Her Little Red Book 南天堂繋がりで内堀弘『石神井書林日録』(晶文社)を読んで、もう何年も前から読もうかどうかつらつら考えてそのままになってしまっていた『ボン書店の幻 モダニズム出版社の光と影』(白地社、1992年)*1をようやくここへ来て読む。後…

南天堂つれづれ 四月の終わりに、森まゆみ『断髪のモダンガール』と扉野良人『ボマルツォのどんぐり』を立て続けに読んでいたら、白山上の南天堂のことが出てきたので、ああ、そうだった、南天堂!といつものパタンでにわかに気になり出して、それからほどな…

University of Hawaii Press*1より、松竹蒲田(1920-1936)の映画について書かれたという何と言う画期的な本!もーう、日本の映画研究者の皆さん、先越されてますよ、とか、ついまたいらんことを言いたくなってしまうような、個人的には待ってましたッ!なモ…

成瀬巳喜男『鶴八鶴次郎』(1938年、東宝) 今までフィルムで観る機会が幾度となくあったにもかかわらず、どうも予定が合わずに見逃し続けてきた作品をようやくフィルムセンターにて観る。東宝だから「監督 成瀬巳喜男」じゃなくて「演出・脚色 成瀬巳喜男」…

金曜日、アテネフランセにて成瀬巳喜男『君と別れて』『夜ごとの夢』(松竹蒲田、1933年)を観る。 『君と別れて』については、2月の金井美恵子+井口奈己トークショーの時にもその名前があがっていて(id:el-sur:20080201)いつかきっと観たいナアと思って…

平山亜佐子『20世紀破天荒セレブーありえないほど楽しい女の人生カタログ』*1(国書刊行会) 友人の、いつもお洒落で「素敵な美人」*2にして「掛け値なしのモダンガール」*3であるところの平山亜佐子さん(id:achaco)の著作をお送りいただいた(どうもあり…

英パンが亡くなった時、棺に一緒に収められたという話を知ってからというもの、谷崎潤一郎『蓼喰う虫』(昭和三年、改造社、装丁:小出楢重)はわたしにとって特別な一冊となった。まだ岡田時彦のことを知らなかった頃、読み差しのまま止してしまっていたの…

本日の英パン発見セツ先生も英パン贔屓: 長沢節『セツの100本立映画館』(草思社、1985年) 林長二郎から岡田時彦へ小学生たちが美剣士、林長二郎派と沢田清派の二つの派閥に分かれていたのを思い出す。私は長二郎派だったが沢田清もキライではなかった。 …

水曜日、東京国立近代美術館フィルムセンター「発掘された映画たち2008」(http://www.momat.go.jp/FC/NFC_Calendar/2008-05/kaisetsu.html)のバン・コレクションのうちの一本を見に行く。 田坂具隆『月よりの使者』(新興キネマ、1934年)*1 入江たか子の…

本日の英パン発見 平野威馬雄『銀座の詩情1』(白川書院、昭和四十一年) 岡田時彦より三歳年上の平野威馬雄が書いた銀座の本を読んでいたら、英パン発見となったのでメモ。平野威馬雄も英パンと同じ、逗子開成中学出身だったんだなあ。序文を石黒敬七が書…

佐々木康の映画を見て清水宏のことばかり思い出す 佐々木康『悲恋華』(松竹蒲田、1936年) 原作が谷譲次の家庭小説執筆時のペンネーム牧逸馬で、好きな女優さんの一人であるところの桑野通子が出ているというのでいそいそと観にいった久しぶりの東京国立近…

森まゆみ『断髪のモダンガール 42人の大正快女伝』*1(文藝春秋) 去年から何かと気になるささきふさが取り上げられていると知って、発売日を楽しみにしていた本。ささきふさは、長谷川時雨と『女人芸術』を創刊し、また、アナーキズム系婦人誌『婦人戦線』…

相変らず雑務に追われる黄金週間。

『天然生活』という雑誌で、マリコさん(http://www.mitsou.org/)がわたし宛にお手紙を書いてくれたと聞いて、買って読む。「平つか」のあのクローバーと薔薇の絵葉書、文通してた頃を思い出して懐かしいね。二十代の頃、わたしは銀座の洋書屋で働いていて…

NHKのETV特集『神聖喜劇再び 〜作家・大西巨人の闘い〜』を見た。大西巨人『神聖喜劇』を読んだのはもうかれこれ8年も前(!)のことだけれど、未だにあの圧倒的な読書体験を思い出すたびにふつふつと感動が蘇ってくる。 →「私家版日本十大小説」(id:el-sur:…