しっぷ・あほうい!

或る日のライブラリアンが綴るあれやこれや

高祖保随筆集『庭柯のうぐひす』

金沢のすてきな書肆・龜鳴屋さんより、春の訪れとともに高祖保随筆集『庭柯のうぐひす』が届く。まずは、いつもながら丁寧で好ましい造本に感激。緑色の函に入れられ、手にしっくりなじむ小ぶりの丸背本は、本文も緑色で印刷されている。見返しには瀟洒な邸宅に住むブルジョワの美青年とでもいうべき高祖保の写真が添えられ、灰色がかった朧な印象の桜の枝を描いた表紙画も本人によるものだそう。まさに春にぴったりな一冊という感じ。彼の詩的交流が垣間見れる日記を、こんなかたちで読むことができるのが嬉しい。これから少しずつ大切に繙くつもり。そうそう、多喜さんの貼り絵(『若い雲』『禽のゐる五分間写生』)を思わせる、検印紙の愛らしさも特筆しておきます。奥付を見て「わー、可愛い!」と思わず小声で叫んでしまった。こういう神経の行き届いた造本に出くわすと、にやにやしながら表紙を撫でさすってしまいそうになる。
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龜鳴屋 http://www.spacelan.ne.jp/~kamenaku/