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しっぷ・あほうい!

或る日のライブラリアンが綴るあれやこれや

murmur murmur


あけましておめでとうございます。


昨年は幸せなマキノ映画通いからスタートして幸先いいナアと思っていたのですが、下半期以降は非定型歯痛に悩まされつづけてかなりしんどかったし、11月からは色々とイレギュラーが重なってにわかに身辺慌ただしく、振返ってみれば、文化活動に浸る余裕がないことでイライラと心がささくれ立つことの多い一年であった。それで、弁明じみているけれど、ついうっかり、溝口健二日本橋』(日活太秦、1929年)のスチル(岡田時彦と梅村蓉子が並んで写っている)をアホのような金額(!)で落札して家人にあきれられたりした。でもいいの、失われてしまった映画について思いを馳せるために、せめてスチルだけでもいいから拝みたい、というのは誰もが思う?ファン心理なのだから。そんな中で、お友達たちと素敵な小冊子(Lilmagでまだ売っているのでどうぞ買ってくださいね)を作れたことは大きな喜びだったし、ルビッチとオリヴェイラビクトル・エリセ*1小津安二郎山中貞雄の映画と、ハンマースホイの絵画と、久生十蘭『魔都』と内堀弘さんのちくま文庫版『ボン書店の幻 モダニズム出版社の光と影』*2には本当に勇気づけられた。内堀弘さんのこの素晴らしい本を水先案内として、今までほとんど知らなかったモダニズム詩についての本を次々に読めたことも喜びだった。とりわけ、先日の東京都写真美術館で観た「甦る中山岩太:モダニズムの光と影」展でも、小磯良平の「第1回神戸みなとの祭」ポスターをオーヴァーラップして写した作品ににんまりだった詩人・竹中郁についての本や作品に触れることが出来たのが嬉しい。今年こそ、本当に今年こそは、関西遊覧をして、竹中郁が通ったアカデミーバーに行かねば、と決意を新たにする。その折りには、山中貞雄のお墓参りもしたい。生誕100年の今年、新たな作品が発掘されることを心待ちにします。



それと、今年は何と言っても、ひょんなことからかかわっているシンポジウム「尾崎翠の新世紀」(http://osakimidori.info/)が3月に控えているので、何が何でもこれを成功させたいと思っています。いよいよ1/10から予約を開始いたしますので、皆さまお誘い合わせの上ぜひいらしてください!


*1:年末にまるで一足遅いクリスマス・プレゼントのようにして届いた待望のDVD-BOX!エリセは今やほとんど絶滅してしまった真の芸術家なのだと思った。DVD初収録の『挑戦』(1969年)はどこを取ってもレイト・シックスティーズの香りぷんぷんといった感じで今にもピーター・フォンダが出てきそうな雰囲気なので、現代の眼で観ると「えーと、」という感が否めないのでこれはともかく『ミツバチのささやき』『エル・スール』の二作品は本当にますます輝きを増すほどに素晴らしい。エリセに早く新作を撮ってもらうために「エリセ基金」を立ち上げたいなあ、と思うほどに新作が待ち遠しい。

*2:isbn:9784480424662