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しっぷ・あほうい!

或る日のライブラリアンが綴るあれやこれや

中村三千夫さんの小さな冊子

この夏はなぜか『瀧口修造の詩的実験 1927〜1937』(思潮社)に挿み込まれたレモン・イエローの添え書きのことがずっと気に掛かっていた。頭のすみに貼りついて、いつまでもそのレモン・イエローがちらちらと掠める。そこには「ボン書店」「ユリイカ伊達得夫」という伝説的な名前とともに「中村書店の中村三千夫」という名前があった。

「日本の古本屋メールマガジン」のバックナンバーで、亡くなられた田村治芳さんが「渋谷宮益坂上の中村書店に行ってみなさい」(http://www.kosho.ne.jp/essay/magazine04.html)という文章を書いているのを見つけた。中村三千夫さんの息子・正彦さんが、三十三回忌に49ページの小さな冊子をつくった、とある。家族用に限定七部ということだけれども、田村さんがその目次を挙げてくださっているので、わたしのように遅れてきた者であっても、初出にあたることができる。

 古本屋から見た文学 中村三千夫(「新潮」昭37年8月)

ある書店主の死   安東次男(「東京新聞」昭和43年10月)

中村三千夫氏を憶う にんじん生(「古書月報」昭43年9・10月号)

在りし日の中村さんを想う 木内茂(〃)

中村三千夫君哀悼 高橋光吉(〃)

古書漫筆      福永武彦(「サンケイ新聞」昭46年11月)
古本のバカ値    安西 均(「詩学」昭46年10月)
中村さんのこと   富岡 弦(「南部支部報」平2年4月)
中村三千夫の仕事  高橋 理(「古書月報」平5年10月)
安規本曼茶羅    伊東 昭(「銀花」12号 昭47年冬)
中村さん      飯田淳次(「明治古典会通信」昭51年11月)
小林秀雄の思ひ出  群司義勝(「別冊文芸春秋」平4年夏)
背の高い詩人    三木 卓(「図書」平12年3月)
読者よ、『異国の香り』を繙いて見給へ 堀内達夫(「詩学」昭59年9月)
幸福について    秋本 潔(「凶区」22号 昭43年10月)
私の父       中村千恵子(昭和女子大付属中学校二年生昭43年)

手始めに勤務先の図書館で『新潮』『詩学』『銀花』『図書』『別冊文藝春秋』など簡単にあたれるものは、あたってみた。けれど『南部支部報』『明治古典会通信』は、どこでバックナンバーをあたればよいのかわからない。この前、鎌倉で隣に座った古書店主のUさんにその話をすると、さっそく手紙とともにいくつかのコピーを送ってくださったのだった。