しっぷ・あほうい!

或る日のライブラリアンが綴るあれやこれや

NHKETV特集神聖喜劇再び 〜作家・大西巨人の闘い〜』を見た。大西巨人神聖喜劇』を読んだのはもうかれこれ8年も前(!)のことだけれど、未だにあの圧倒的な読書体験を思い出すたびにふつふつと感動が蘇ってくる。 →「私家版日本十大小説」(id:el-sur:20071101)  また、以前から大西巨人の映画好きを知ってはいたけれど、書斎のヴィデオ・ライブラリにはずらりと並んだ小津や溝口は勿論、マキノ正博『昨日消えた男』成瀬巳喜男『女人哀愁』『乙女ごころ三人姉妹』五所平之助『人生のお荷物』まで並んでいて「おっ!」と思う。



インタヴュアーにデリカシーがなくてイライラさせられる面もあった*1けれど、「作家とは?」という最後の質問に「そうだな、俺のようなものだな」と答えていてシビれた!小島信夫が亡くなった今、これでもし大西巨人古井由吉が亡くなってしまったら、もう本当に戦後日本文学は終焉を迎えるのだろうなあとしみじみ思う。そりゃ、柄谷行人も文学からすっかり手を引くわなーとかって、こちらもすっかり傍観者気取りですが、『神聖喜劇』全五巻を読んでいた頃は本当に文学作品を読むことが好きで好きでまるで取り憑かれていたようであったのに、今じゃすっかり興味は映画にシフトしてしまい、本はと言えばほとんど軽めのしか読まなくなってしまった.....ので、確実に思考能力が低下していると思う昨今。もっと勉強しないと駄目だなあ。あ、でも「くたばれ脳みそ!」なジャン・ルノワール主義者なのだからこれでいいのかな?(←いや、たぶんよくない.....)

*1:家人と二人で「バッカじゃないの!」「そんなの思い出すに決まってんだろ」とテレヴィに向かって罵声(←お手本は武田百合子)を浴びせてしまう