しっぷ・あほうい!

或る日のライブラリアンが綴るあれやこれや



大晦日に大正生まれの祖母が亡くなった、九十一歳。
お洒落とデパートと片岡千恵蔵と鰻とお寿司が大好きだった祖母。



わたしが山名文夫の唐草模様を懐かしく思うのは、祖母の、白粉がところどころこびりついていた三面鏡のついた鏡台にはいつも決まって資生堂ドルックスの瓶が所狭しと並び、銀色のコムパクトが置いてあったのを覚えているから。香水も資生堂のホワイトローズと決めていた。



焼き場で、祖母に向かって手を合わせながら「おばあちゃんの好きだった千恵蔵の映画を観てくるからね」と約束した。