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しっぷ・あほうい!

或る日のライブラリアンが綴るあれやこれや

FOOTNOTE PHOTOS 02『アクテルデイク探訪』
http://www.wwalnuts.jp/vww/11/ 

1.
十時半、というのだから、午前中のことである。けれども、フロントグラスをへだてて映しだされる空は靄がかり、湿り気を帯びた粒子が肌に纏わってゆくように見える。灰緑色と水色のまじりあうところから、仄白い穹窿に向かって。アムステルダムの運河沿いの朝はずいぶんと薄明の時間が長く靄がかかっていたこと。

2.
ひどく枯れているポプラの木の幹に針金で括りつけられた金属製の新聞受けは、ずっとモノクロームの世界で存在していたから。「27」と書かれブルーに彩色された筒状のはがねは、じっくりと観察ができるほどにクローズアップで撮られている、とすると、これはいったい現実なのだろうか。アクテルデイク27番地は、どこかには存在するけれど・どこにもない架空の場所だと思っていたのに。

3.
その小さな家の外壁。雨風に曝されてどこか打ち棄てられたような茶色のしみを付けている。それとも、赤茶色のざらついた煉瓦に白っぽいしみが付いているのか。どちらなのかはわからない。窓の外には赤い鶏冠をつけた鶏が、いくぶん胸を反らせるようにして部屋のなかを覗きこんでいる。緑の光、小鳥の囀り、蜜蜂の翅音、風のそよぎ。《イッツ・グリン》歩けばかさと鳴るだろう。

4.
さっきまで光が射していたのに、もう曇って灰白色のヴェランダ。曇ってしまったから、尖った草の網目も濃いビリジアンに明度を落とす。そもそも猫というものは、だいたいにおいてひどくお行儀がよいのだから。白い肢をきちんと丸く揃えてこちらを見つめている。白に黒斑の毛色はスタインの国にいるまだら模様の牛に似ているようだ。