しっぷ・あほうい!

或る日のライブラリアンが綴るあれやこれや

via wwalnuts叢書09の平出隆『胡桃だより』と吉岡実『ポール・クレーの食卓』の表紙がどことなく似ているなあと思ったことを書き留めておきたい。吉岡実のこのささやかな拾遺詩集のことを突然にぽんと思い浮かべてしまったのは、ちょうど機会があって*1書肆山田の装幀本のことを考えていたからかも知れないが。それで、この二冊を手許に置いて『胡桃の戦意のために』を読みかえしていたら、57番ではっとする。「緑の皮にくるまれた魂。密生するひとつひとつに、雷雨の雫がぶらさがってる!」に、はてこの詩の部分を最近どこかで読んだはずだと思って詩集『雷滴』をこちらもいそいで読みかえしてみたら、51頁にほとんど同じ詩句が出てきた。ただし「雫」は「しずく」とひらがなになっている。それと「ぶらさがってる!」も「ぶらさがつてる!」と促音が清音になっている。うーむ、これはすっかり読み落としていた...。詩集というものはやはり読み終えることのない書物である。