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しっぷ・あほうい!

或る日のライブラリアンが綴るあれやこれや

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昨日はとある方のご好意により、世田谷美術館(http://www.setagayaartmuseum.or.jp/index.html) にて開催中の【異色の芸術家兄弟――橋本平八と北園克衛展】オープニング・レセプションに参加させていただく。ありがたきことなり。遅れて会場入りしたので、講堂はすでに満員。席に着くと、ジョン・ソルトさんが今日も可愛らしい緑色のシャツを着てにこやかに喋りながら、2013年にL.A.で予定されている北園の展示の話につづき、元"VOU"の詩人たち二人と、今回の展示に合わせて北園の作品をあしらったスカーフ(ベージュとごく薄い桃色の二色のシルクのスカーフ、素敵でした)をデザインした女性を紹介していた。


そのあと、展示会場に移動したのだけれど、小さな展示室が人で溢れており、談笑する人々のさざめきや行き交う人の流れが不規則なので、気が散ってあまりよく作品を観られず。会場で石神井書林内堀弘さんを見つけて声を掛ける。内堀さんは、『ボン書店の幻』のみならず、日外アソシエーツの『現代詩誌総覧』や、本の友社から刊行された『北園克衛・レスプリヌーボーの実験』の編者も務められている方なので、北園エキスパートのお一人。もしかしたら、会場にいらっしゃっているかなあと思っていたのだ。この前の西荻ブックマークの時もお話させていただいて、そのお礼など。


しばらくお話をして、また展示に戻って見ていると、内堀さんがわざわざお声掛けくださり、おお!現在の北園克衛研究の先頭走者であるところの金澤一志さんを紹介してくださる。さらに、現在『左川ちか全詩集』を準備中の森開社の小野夕馥さんまで紹介してくださる。「左川ちかの新版、楽しみにしています!」などとやや興奮気味に喋る。活字の上でしか知らない方々に実際にお会いするというのは、やっぱり何だか不思議な気分だ。そんなこんなで、浮き足立ったようなふわふわとした気分で展示を観たので、集中力が途切れがちで、終わってみると、橋本平八の《石に就て》(1928年)を見逃すという手痛い失態をやらかしてしまう。三重ではゆっくりじっくり見た、山中散生や岩本修蔵、近藤東による北園克衛宛の手紙や葉書の類も、今回はあまりよく覚えていない......。『MADAME BLANCHE』の13号に掲載されていた、西崎晋の"Chanson sans Parole" という詩に、「あれ、この人の詩集は新しい石神井書林の目録に載っていたっけなあ」というのを思い出したのと、北園克衛が使っていた原稿用紙が紀伊國屋製だったのをメモしたくらい。ああ、ダメだ.....。まあ、会期中にもう一度訪れて、あらためて静かにゆっくり時間をかけて観たいと思う。これで今秋に観るべきものがまたひとつ増えてしまった。秋の休日は本当に忙しい!