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しっぷ・あほうい!

或る日のライブラリアンが綴るあれやこれや


九月十七日は山中貞雄の命日なので、フィルムセンターで開催中の「生誕百年 映画監督山中貞雄」(http://www.momat.go.jp/FC/NFC_Calendar/2009-9/kaisetsu.html)にて『海鳴り街道』(1936年、日活京都)『大菩薩峠 甲源一刀流の巻』(1935年、日活京都)を観る。わずか一分ちょっとの『海鳴り街道』が......!こんなフィルムの断片を身を乗り出して喰い入るように見つめなければならないことの不幸はいくら嘆いても嘆き足りないくらいだけれど、青紫色に染色されたフィルムに映し出される、陽光を受けてきらきらと輝き小波立つ海面の美しさや、なめらかに横移動するキャメラなどにわくわくと胸が高鳴る。きらきらと輝く海辺での立ち回りのシーンも活劇の魅力に満ち溢れており、大へんに美しく素晴らしい。山中貞雄のチャンバラ映画を観ているはずなのに、この光と水と影......!なんだかふと向こうの青春映画を観ているかのような感覚に陥ってしまう。一分ちょっとのフィルムの断片を観て喜んでいるなんてまるでシネフィルみたい(金井美恵子先生だったら「パトリック」とルビを振るところ)で自分でもどうかと思いますが、でもそれが山中貞雄ならば仕方がない。というか、このささやか過ぎる断片からも山中貞雄の恐ろしいまでの瑞々しさというか「映画に選ばれた人」の才能がひしひしと伝わってくる、凄い。今年中にどうしても行っておきたかった山中貞雄のお墓参りにも行けた(id:el-sur:20090506)し、こうして無事に生誕百年の催しにも参加できて嬉しく思う。山中貞雄(彼は絵も上手であった!)が京都一商時代に描いたというパラパラ漫画アニメも楽しみ。