しっぷ・あほうい!

或る日のライブラリアンが綴るあれやこれや


先日の第34回西荻ブックマーク「ガルボのように---1920-30年代東京・モダンガールとしての尾崎翠」に拙文が掲載されました。こちら→http://nishiogi-bookmark.org/2009/nbm34report/


トークセッションで小澤英実さんが挙げられていた"The Modern Girl Around the World"(Duke University Press, 2008)をさっそく今日からぱらぱらと読んでいるところ。この本の存在は随分前に知っていたというのにその後すっかり失念していたので、機会を与えてくれた小澤さんに感謝します。


さて、今回のイベントタイトルは「ガルボのように」。レポートにも書きましたが、落合時代の翠を回想した大田洋子の証言から採られているものと思われます。ただ、ここで僭越ながらわたしの極めて勝手な見解を述べさせていただくと、そもそも尾崎翠が気取っていたのは本当にグレタ・ガルボだったのか?という疑問、って今更言うなって感じですが......。サバサバした男っぽい翠の性格からすると「神聖ガルボ帝国」とも呼ばれた高貴な美貌のガルボというよりは、むしろ男装も似合う両性具有的魅力を兼ね備えたディートリッヒ(淀川長治さんに言わせれば「下町風」)の方がしっくりくるのではないか?と、つい翠の人となりと嗜好とを繋げて考えてみたくなるのです。ハスキー・ヴォイスと脚線美とで全世界を魅了したドイツ生まれのこの女優も、翠が心酔していたアラ・ナジモヴァと同様、私生活ではバイセクシュアルだったと言われていたらしいし。もしディートリッヒだとしたら、小澤さんが挙げられたヴァージニア・ウルフ『オーランドー』とも繋がる部分があるしなあ.....という訳で、お三方の話を聞きながらそんなことをつらつらと思いめぐらしておりました。ともあれ、ライヴもトークセッションもとても楽しく終始頬を緩ませながら拝見しておりました。出演者のみなさまお疲れさまでした!