しっぷ・あほうい!

或る日のライブラリアンが綴るあれやこれや

シンポジウム「尾崎翠の新世紀」はいよいよ明日からです!

今日、尾崎翠の「途上にて」(昭和六年四月)を読み返していたら、「中世紀氏」と「フロインデイン」という言葉が気になった。「中世紀氏」という言葉が気になった訳は今日は時間がないので後日述べることとして、「女ともだち」と注がついている「フロインデイン」という言葉は、岡田時彦名義で渡辺温の兄・渡辺啓助が代筆した「偽眼のマドンナ」(『新青年』昭和四年/第10巻、第7号・六月増大号)にも出てきていて、あれ?と思ったのでメモ。

「.......僕の友だけは、ちゃんと札を二枚買って、館の入口あたりで待っていたんですが、その友だちの来かたがあまりおそいので、僕の友だちがそのフロインデインの家へ行ってみたら、すいぶん熱をだして臥ていたそうです。」(尾崎翠「途上にて」)


「一九ーー年の秋の或る日。私たちはセエヌ河をボートで下つて行きました。私たちと云うのは、私と、その頃維納の医科大学にいた林との二人でした。林は彼の何番目かの女友達(フロインデインとルビが振ってある・引用者注)が予期以上に悩ましいものであったらしく、遉の彼もそれに辟易して、彼女から逃れるために、私の巴里の下宿に一時身をひそめていたのです。」(岡田時彦「偽眼のマドンナ」)

女友達を「フロインデイン」(多分ドイツ語?と思われます)と呼ぶのは、昭和初期に流行ったことなのでしょうか?ちょっと気になります。



という訳で、シンポジウム「尾崎翠の新世紀」は、いよいよ明日から二日間の日程で日本近代文学館にて開催されます!当日の注意事項などは、公式ページ(http://osakimidori.info/)をご確認していただくこととして、3/28の映画の部から参加されるお客さまに、休憩時間についてひとこと申し上げます。午前中の部の終了時刻は12:00予定としておりますが、その後30分の休憩時間を取り、12:30すぎには再び順にお並びいただき、13:00の池内紀さん講演の開場をする予定となっております。そのため、お昼ご飯を取れる時間が30分しかございません。ご存知の方もおられるかとは思いますが、駅まで戻らない限り*1駒場公園の近くには飲食店がありません。二日目の全企画に参加されるお客さまは、事前にお昼のご準備をしていただくことをおすすめいたします。

*1:駅前には美味しそうなパン屋さんやちょっとしたカフェもありますが。