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2008年にスクリーンで見た映画ベスト10+3をメモ(鑑賞順)。来年も良い映画にたくさん出逢えますように!
無声映画鑑賞会にて。パッツン前髪がルイーズ・ブルックスそっくりの「伝説のモダンガール」こと柏美枝が観られる唯一の作品(と、思われる)。1927年という幸福な時代の「蒲田モダニズム」が溢れている素敵な小品。これは観ることができてよかった。
フィルムセンターにて。これが戦時中に撮られた作品とは思えない!というため息が思わず出てしまう、マキノの徹底したエンターテイナーとしての手腕にただ驚く。轟夕起子の向日葵みたいな笑顔とあかるい唄声が愛らしい。
・マノエル・ド・オリヴェイラ『夜顔』(2006年、アルシネテラン)*3
テアトル銀座にて。祝・生誕百年!というのはマキノと同じなのだけれど、こちらは生きてそれを迎えてしまったという驚異の映画監督の作品。茶目っ気と機知に富んでいるだけでなく、相変らず人を喰ったような演出にも度肝を抜かれるし、音の使い方もたいへん素晴らしく贅沢な映画。
Bunkamuraル・シネマにて。テクニカラーで撮られた色彩の洪水がひたすら目に眩しい幸福な映画。やっぱりルノワールの映画が大好きだ。
フィルムセンターにて。マキノ映画での越路吹雪は天下無敵に素晴らしい。そして、服部良一の音楽がまた素晴らしい!ラストシーンはルノワールの『フレンチ・カンカン』!
・ジャック・リヴェット『セリーヌとジュリーは舟でゆく』(1974年)*6
日仏会館にて。リヴェットの魔術にうっとり酔いしれた。でも、これはたぶん『オリーブ』時代に観るべき作品だったわ。
アテネ・フランセにて。コケティッシュな魅力のマリオン・デイヴィスが愛らしい。こういう善良さに裏打ちされたサイレント映画にはやっぱりどうしても弱い。泣けるわー。
・デトルフ・ジールク『思ひ出の曲』(1936年、ウーファ)*7
ぴあフィルム・フェスティヴァルにて。この幸福感はまさにジャン・ルノワールだ!と思ったらもうひたすら頬が緩んだ。流れるようなテンポと洗練の極致のような滑らかなつなぎにうっとり。
・クロード・シャブロル『肉屋』(1969年)*8
有楽町朝日ホール「フランス映画の至宝」にて。そういえば、こちらの方が良かったかも、と、マックス・オフュルスと差し替えてみた。ラストで瀕死のポポール(ジャン・ヤンヌ)を乗せて村の夜道を車で走るシーンの描き方の素っ気なさが素晴らしい。アンチクライマックスの悲劇。ステファーヌ・オードランの美しいこと!
新文芸座にて。傘を差した小杉勇と轟夕起子、江川宇礼雄が三人で隅田川の橋を渡って帰路に着く背中を映すというラストシーン含め完全版で観てみたかった.....。ついでに言えば、小津安二郎版でも観てみたかった。碧川道夫のキャメラが凄い。
次点:
・成瀬巳喜男『まごころ』(1939年、東宝)
・田坂具隆『月よりの使者』(1934年、新興キネマ)
・伊藤大輔『長恨』(1926年、日活大将軍)