しっぷ・あほうい!

或る日のライブラリアンが綴るあれやこれや


お盆休み、少しの遠出は逗子の祖父母に会いに行ったくらいで、フィルムセンターに『喜劇の黄金時代』を、アテネフランセ鈴木英夫を観に行って、国会図書館でいくつか調べものをして、あとの残りは家で海野弘久生十蘭ー『魔都』『十字街』解読』(右文書院、2008年)をレファレンスにしながら、未読だった(おお、恥ずかしきことなり!)『魔都』と『十字街』をひたすら読んで過ごす、という、まったくもって地味すぎる休日であった、ああ、休日が逃げてゆく.....。ルネ・クレールが解説している『喜劇の黄金時代』は、サイレント・コメディにおける名シーンの数々をダイジェストで紹介するといったもので、マック・セネットの水着美人のワンシーンが観られるのも嬉しいし、黒猫が人間とチェスをする(あの駒を動かす手の愛らしさときたら.....!)のも猫好きには悶絶ものに可愛いし、眉毛を下げて困ったような顔で笑いを巻き起こす「憂鬱な喜劇役者」ハリー・ラングドンが観られたので大へん満足。ハリー・ラングドンは何となくだけれど日活白塗り時代の英パンにも似ているなあ、と思いながら観た。