しっぷ・あほうい!

或る日のライブラリアンが綴るあれやこれや


そういう訳で(?)引き続き冷めやらぬモダン都市文化への情熱といったところなのですが、今、P.C.L.時代の成瀬巳喜男が撮った『乙女ごころ三人姉妹』(1935)がモーレツに観たい。原作が川端康成『浅草の姉妹』で、音楽監督が紙恭輔で、サトウハチローが主題歌で、出演が細川ちか子と梅園龍子藤原釜足。ああ、これと原作・北村小松の『限りなき舗道』(1934)の二本を、フィルムセンターのレトロスペクティヴで見逃しているのが大へんに口惜しい。『乙女ごころ三人姉妹』は前々からちゃんと手帖にまでメモしてたのに朝寝坊して11:00の上映に間に合わなかったんだった....代わりに行ったポーランド映画祭にて予備知識ゼロで観た『エヴァは眠りたい』(1957)は大層愛らしい映画だったので、これはこれでよかったのだけれど。それから、紙恭輔つながりで、寺田寅彦も観たという、山本嘉次郎『すみれ娘』(1935)も。この映画に出演しているリキー宮川はジャズシンガーで、宮川はるみの兄らしいのだけれど、『日本のジャズ・ソング 戦前篇』シリーズに収録されている、宮川はるみ+コロムビア・ナカノ・リズム・ボーイズ「すみれ娘(すみれの花咲く頃)」はこの映画の曲として使われているのかなあ、気になるなあ。その他の出演も、藤原釜足に伊達里子に徳川夢声梅園龍子と何ともにやにやと嬉しくなるようなキャスティング。このあたりのP.C.L.の映画をまとめてどこかで上映してくれないか知ら、ってフィルムセンターでしか無理ですね、きっと。