しっぷ・あほうい!

或る日のライブラリアンが綴るあれやこれや


コラージュとフォトモンタージュ展(東京都写真美術館
http://www.syabi.com/details/collage.html


コラージュ好きとしては、少し気になっていた展示会。しかも、個人的に目が離せない30年代ものもありそうだし、またこの前みたいに行かなかったと後悔するのも嫌だな、と思って、よいお天気の日曜日、恵比寿まで出かけてみた。全体の印象としては玉石混交といった感じだけれど、さすがにかっこいいモホイ=ナジや平井輝七*1、小石清、『クオ・ヴァディス』の北脇昇らの作品を観ることができたのは収穫だった。「ああ、やっぱりあった。」と大好きな中山岩太岡上淑子*2の作品を前にしてはにんまり。

写真を見るのは好きだけれど、日本写真史的な流れもよく知らないので、いろいろ調べてみたら、写真の世界でも20年代半ばから30年代にかけて「新興写真」なる動きがあったそう。文学における新興芸術派もこのくらいの年代だったはずだけれど、いろいろと接点などあったのかしら。映画も写真も劇場も文学もやはり気になる30年代。ひとまず写真については、平凡社からでている飯沢耕太郎『都市の視線 日本の写真1920-30年代』*3など買って勉強すべき?その後、「新興写真」は一部が「前衛写真」へと分化した流れがあるのだそうで、当時結成された集団は平井輝七が属していた「アヴァンギャルド造影集団」、瀧口修造の「前衛写真協会」、「ナゴヤ・フォトアバンガルド」「ソシエテ・イルフ」などこうして文字にしてみるだけで黄色い声をあげてしまいそうな、胸が高鳴るかっこよさなので、この辺を体系的に網羅した展覧会をぜひどこかでやってくれないかなあと切に思います。あと、中山岩太の「芦屋カメラクラブ」をはじめ「丹平写真倶楽部」など、関西が特に熱かったっていうのもたいへん気になるわー。

やっぱり30年代はわたしにとって熱すぎる。

*1:画像は彼の『生命』(1938)という作品、かなり人工的な色合いに着彩されているのがおもしろい。

*2:Nazraeli Pressから出ている岡上淑子の作品集"Drop of Dreams"を買おうかどうしようかここ半年以上ずうっと迷ってて未だ買っていなかったのだけれど、また改めて作品を観てやっぱり欲しいなあと思ってamazon.comを見たらもうすでに定価ではなくコレクター価格になってしまっている!のを発見して急いで検索して出てきたNYのonlie bookstoreにオーダーしたけれどここも在庫切れだったらどうしよう....。

*3:isbn:4582765556