しっぷ・あほうい!

或る日のライブラリアンが綴るあれやこれや

秋になると何故だか小津が観たくなる。『秋刀魚の味』『秋日和』『彼岸花』...秋に観たらしっくりくる映画が多いからか知ら。毎回せっせとレンタルヴィデオを借りるのも何なので思い切ってそろそろ中古市場でも売り切れそう(?)なDVD-Boxのvol.1*1と2*2を買った。小津の映画は、心がささくれ立った時や機嫌が悪い時、なんだか冴えない時に魔法のような鎮静効果があるのでどうせこれからも何度も繰り返し観るのだからいいのである。さっそく職場の図書館で2003年に開かれたozu 2003シンポジウムの本*3を借りてくる。その中のペドロ・コスタの発言で、溝口が小津について語ったという内容がたいへん印象的。

溝口監督が、いつかこうおっしゃっていました。監督は「小津作品についてどう思うか」と聞かれて、こうおっしゃったわけです。「彼は私が作っている作品よりもずっと難しい作品を作っている」。(p.137)