しっぷ・あほうい!

或る日のライブラリアンが綴るあれやこれや

cinema

デトレフ・ジールク(ダグラス・サーク)『思ひ出の曲』(1936年、ウーファ)!! 愛らしすぎて、幸福すぎて、一体全体こんな夢見るように幸せな映画が存在していいのでしょうか?と思ってしまうくらい、素晴らしくすてきな映画。そして、この感じは、そうだ…

映画メモ: 海の日、ぴあフィルムフェスティバルにて、ダグラス・サーク『翼に賭ける命』(1957年)『天が許し給うすべて』(1955年)の二本を観た。 ウィリアム・フォークナー『パイロン』が原作の『翼に賭ける命』は素晴らしかった。imdbのレヴューによる…

映画メモ: 土曜日、神保町シアターにて五所平之助『新道[前後篇]』(松竹大船、1936年)を観る。通俗小説の大御所・菊池寛原作で、佐分利信・上原謙・佐野周二の二代目松竹三羽烏が出演しているメロドラマ、主演は田中絹代と川崎弘子。五所福之助による美…

成瀬巳喜男『鶴八鶴次郎』(1938年、東宝) 今までフィルムで観る機会が幾度となくあったにもかかわらず、どうも予定が合わずに見逃し続けてきた作品をようやくフィルムセンターにて観る。東宝だから「監督 成瀬巳喜男」じゃなくて「演出・脚色 成瀬巳喜男」…

金曜日、アテネフランセにて成瀬巳喜男『君と別れて』『夜ごとの夢』(松竹蒲田、1933年)を観る。 『君と別れて』については、2月の金井美恵子+井口奈己トークショーの時にもその名前があがっていて(id:el-sur:20080201)いつかきっと観たいナアと思って…

水曜日、東京国立近代美術館フィルムセンター「発掘された映画たち2008」(http://www.momat.go.jp/FC/NFC_Calendar/2008-05/kaisetsu.html)のバン・コレクションのうちの一本を見に行く。 田坂具隆『月よりの使者』(新興キネマ、1934年)*1 入江たか子の…

佐々木康の映画を見て清水宏のことばかり思い出す 佐々木康『悲恋華』(松竹蒲田、1936年) 原作が谷譲次の家庭小説執筆時のペンネーム牧逸馬で、好きな女優さんの一人であるところの桑野通子が出ているというのでいそいそと観にいった久しぶりの東京国立近…

ジャン・ルノワール『フレンチ・カンカン』(1954年)をはじめて観たのは、もう何年も何年も前のことで、その頃はまだ有楽町の駅前には「レバンテ」だって「ももや」(ああ、ホウ・シャオシェンの『珈琲時光』!)だってあったし、郊外のショッピングモール…

東京国立近代美術館フィルムセンターにて、ジャン・ルノワール『のらくら兵』(Tire au Flanc, 1928)。 先月一杯までの、特集上映「生誕百年 映画監督 マキノ雅広」*1に引き続き、個人的に感涙もののルノワール特集だてんで、さっそく今日から通い始めるつ…

猫と木漏れ日とふたりの女の子と/ジャック・リヴェット『セリーヌとジュリーは舟でゆく』 本日期末の有給休暇。午前中、東京駅近くで用事を済ませてから、中央線で御茶ノ水まで出て、そこから総武線に乗って飯田橋駅で下車。御茶ノ水駅から四ッ谷駅までの総…

日仏学院で開催中の「ジャック・リヴェット・レトロスペクティヴ」(http://www.institut.jp/agenda/festival.php?fest_id=40)にて、ジャック・リヴェット『パリはわれらのもの』(Paris nous appartient, 1960)。行く前から家人に「これ日本未公開だから1…

映画メモ: ジャン・ルノワール『素晴しき放浪者』(1932年)を観て『お早よう』(1959年)の勇ちゃんを思い出す そう、あの水と水と光のきらめきとが溢れ返っている眩いほどに美しい、ジャン・ヴィゴ『アタラント号』(1934年)での、落書きみたいなおかし…

竹中労を読んでバンツマとアラカンとマキノ正博に敬意を表して 東京国立近代美術館フィルムセンターにて、マキノ正博『恋山彦』(日活、1937年)『江戸の悪太郎』(日活、1939年)を観た。阪東妻三郎の荒唐無稽すぎる超人っぷりが笑えた、さすが「大将、おア…

今日もまた東京国立近代美術館フィルムセンターにて、マキノ正博『グランド・ショウ1946年』(松竹大船、1946年)マキノ雅弘『おかる勘平』(東宝、1952年)を観る。『おかる勘平』を今回の特集でどうしても観たくて、このプログラムは平日夕方しかかからな…

日曜日、東京国立近代美術館フィルムセンターにて、川浪良太・滝澤英輔・久保為義『学生三代記 昭和時代[マキノ・グラフ版]』(マキノプロ、1930年)の中から「野球の巻」「下宿の巻」を観た。これはずいぶんと前から映画保存協会(http://www.filmpres.org/…

とある方のご好意で、念願かなって、小津安二郎監督作品『お嬢さん』(昭和五年、松竹蒲田)の主題歌(!)、二村定一・天野喜久代『お嬢さんの唄』(昭和六年、時雨音羽作詩/佐々紅華作曲)を聴かせていただく。何という幸運なことだろうか。本当にありが…

強風の吹きすさぶ土曜日、東京国立近代美術館フィルムセンター(http://www.momat.go.jp/fc.html)にて、マキノ雅弘『浮雲日記』(東宝、1952年)『離婚』(新東宝、1952年)を観る。 『浮雲日記』 主人公の重光彰の喋り方を見ていて何故か早稲田の斎藤佑樹…

映画メモ: 神保町シアターにて、市川崑『穴』『プーサン』を観た。『穴』(1957年)はほとんど京マチ子の独り舞台であった。山村聡はシリアスな役どころの時(『山の音』『舞姫』『女優須磨子の恋』など)はあまり好きではないが、こういうコメディに出ると…

市川崑を観て溝口健二のことばかり思い出す 土曜日、神保町シアターに市川崑を観に行く。 市川崑『日本橋』(1956年、大映) 本当はサイレント時代の溝口健二『日本橋』(1929年)が観たいけれど、それが叶わないので、せめて市川崑の『日本橋』でもいいから…

市川崑監督が亡くなられたのですね、九十二歳。オリヴェイラよりまだ七歳も若いのに....。亡くなる前の日に、偶然にふとした出来心で、山根貞男が『季刊 リュミエール』に書いていた「最後の加藤泰」という文章を読んでいて、加藤泰もキネカ大森にて特集上映…

金曜日にアテネフランセで数年振りに成瀬巳喜男『流れる』を観て、翌土曜日にBunkamuraル・シネマでジャン・ルノワール『恋多き女』"Elena et les hommes"を観ることができるという、2008年東京の贅沢!今気付いたけれど、どちらも1956年の作品だった。 ジャ…

成瀬巳喜男『三十三間堂通し矢物語』(東宝、1945年)を観にアテネフランセへ行く。二枚目の長谷川一夫があまりにも「ザ・二枚目」なので、ラストの田中絹代が独り言つ「立派なお方」という長谷川一夫を称賛する台詞を聞いて、思わず笑ってしまったけれど(…

マキノ正博『世紀は笑ふ』(日活多摩川、1941年) 土曜日の映画鑑賞メモ。 監督がマキノで広沢虎造と杉狂児(この方も我が贔屓のバイプレーヤー)が主演で脚本は小国英雄でおもしろくない訳がないのであーる!という確信に満ち満ちて、今日もはよから東京国…

成瀬巳喜男『女人哀愁』(P.C.L.+入江ぷろだくしょん、1937年) アテネフランセにて溝口・成瀬特集の二日目、これは佳作。 今日はカメラが三浦光雄なので安心して鑑賞できた。やっぱりカメラがいいとすべてがよく見えてしまうなあ。三浦光雄は不二映画で岡田…

午後はお休みをいただいて映画を二本鑑賞。 ・マノエル・ド・オリヴェイラ『夜顔』(アルシネテラン、2006年) お正月明けから怒涛のマキノ月間が始まってしまったので、毎回フィルムセンターに行く道々銀座テアトルシネマのミシェル・ピコリとビュル・オジ…

映画つれづれ:溝口健二と小津安二郎 日本映画を観始めてからまだ日が浅く、最初は、おおよその人に違わず小津安二郎からはいったこともあるし、その完成され洗練され計算され尽くした小津の狂いのない美にすぐさま魅せられ惹き付けられたために、他に何も観…

マキノ雅広『映画渡世 マキノ雅広自伝』天の巻・地の巻(ちくま文庫)*1 お正月明けからすっかりマキノ熱にやられて、マキノ雅広『映画渡世』上下巻を、とある寒い冬曇りの一日に読む。何と面白い自伝なのだろう!図書館で借りて来て、どれどれ、試しに数頁…

水曜日、マキノ正博『ハナコサン(ハナ子さん)』(1943年、東宝)を観にフィルムセンターへ。 嬉しいことに、本日もほぼ満員である、ああ、満員でよかった。 こんなに愉しいマキノの映画を空いている映画館で観るなんてことは嫌ですもの! フィルムセンター…

マキノの幸福冷めやらぬ日曜日、無声映画伴奏者の柳下美恵さん企画「お宝映画上映会」にて、昨年見逃して地団駄踏んで悔しがっていた、牛原虚彦『海浜の女王』(1927年、松竹蒲田)と斎藤寅次郎『モダン怪談100000000円』(1929年、松竹蒲田)が再びかかる!…

そんな祖母が大ファンだった片岡千恵蔵*1主演の映画二本、マキノ正博『鴛鴦歌合戰 』(1939年、日活京都)『清水港 代参夢道中』(続清水港)(1940年、日活京都)を新年初のフィルムセンター(http://www.momat.go.jp/FC/fc.html)にて鑑賞する。2008年の映…